現在、歌舞伎界で最も眩い輝きを放ち、次世代の若きリーダーとして圧倒的な支持を集めている五代目・市川團子(だんこ)さん。
舞台に登場するだけで空気を一変させる華やかさと、確かな実力は多くの観客を魅了して止みません。
しかし、彼のこれまでの歩みは決して平坦なものではありませんでした。
「血統だけの駄馬」とまで言われた辛辣な酷評の過去、そこから彼を覚醒させた運命の舞台、
そして日本中を驚愕させた劇的な代役劇――。
今回は、市川團子さんが血の滲むような努力で掴み取った、奇跡のような成長の軌跡を辿ります!
1. 鮮烈なデビューと弱冠9歳での受賞、しかし待ち受けていた「梨園の逆風」
市川團子さんの初舞台は2012年、当時8歳のときでした。
祖父である二代目市川猿翁さんの代表作『スーパー歌舞伎 ヤマトタケル』のワカタケル役で、五代目市川團子を襲名。
翌2013年には、弱冠9歳にして『春興鏡獅子』の胡蝶の精役で見事な舞いを披露し、
「国立劇場賞特別賞」を受賞するという天才肌のスタートを切ります。
しかし、その輝かしい一歩の裏には、冷酷な逆風が吹き荒れていました。
父・香川照之さんが40代半ばで突然歌舞伎界(市川中車)へ進出したことへの反発もあり、世間や梨園の風当たりは非常に強かったのです。
他の御曹司のように幼少期からの英才教育を受けてこなかったハンデを中傷され、
伝統芸能の重鎮のひとりからは、ブログで「血統があっても、きちんと鍛えられなければ只の駄馬」と遠回しに酷評されるという、
あまりにも残酷な洗礼を受けました。
2. 高校2年生の冬、祖父から叔父へと受け継がれた極意で「役者・團子」が覚醒する
何の罪もない幼い胸に突き刺さった、理不尽な評価。
しかし團子さんは、それに腐ることなく、ただひたすらに稽古を重ねて実力を蓄えていきました。
そんな彼の努力が爆発的な大輪の花を咲かせたのが、高校2年生(2020年1月)の時でした。
歌舞伎座の大舞台『連獅子(れんじし)』の仔獅子役に抜擢され、親獅子を務める叔父・四代目市川猿之助さんと共演を果たしたのです。
この舞台で、團子さんは人生を変える大きな極意を体得します。
叔父の猿之助さんが、未熟な自分の動きに合わせて絶妙なタイミングで踊りをコントロールしてくれていることに気づいた團子さん。
形をなぞるだけではなく、「振りに感情を入れる」「心を磨けば身体もついてくる」という、
澤瀉屋(おもだかや)の血脈に流れる舞踊の神髄を、心と身体で理解した瞬間でした。
この舞台を境に、團子さんの芝居は「別人のように覚醒した」と大きな話題を呼び、
「駄馬」という過去の酷評を自らの実力で完全に過去のものへと変えてみせたのです。
3. 日本中が驚愕!準備期間わずか1日、明治座での「奇跡の代役劇」
團子さんの「本物の実力」と「凄まじい度胸」が、世間に広く、決定的に認知される大事件が起こります。
それが2023年5月、明治座で行われていた「市川猿之助奮闘歌舞伎」での出来事でした。
主演を務めていた市川猿之助さんが緊急搬送されるという、公演中止に追い込まれてもおかしくない絶体絶命のピンチが発生。
その昼の部『不死鳥よ波濤を越えて』の主役・平知盛の代役に指名されたのが、当時まだ19歳の團子さんでした。
与えられた準備期間は、わずか1日。
セリフ、立ち回り、歌舞伎独特の所作――
通常なら何ヶ月もかけて身体に叩き込む主役の大役を、彼はたった1日で仕上げて舞台に立ったのです。
幕が上がると、そこには重圧を跳ね除け、堂々と主役を演じきる市川團子の姿がありました。
その魂の熱演とクオリティの高さに客席からは地鳴りのような拍手が沸き起こり、観客は大絶賛。
この「劇的な救世主」としての活躍は、彼が単なる若手役者ではなく、修羅場をくぐり抜ける本物のスターであることを証明しました。
4. そして現在へ:ヤマトタケル主演でチケット完売!胸に抱く「天翔ける心」
覚醒を遂げた團子さんの勢いは止まりません。
2024年には、かつて自身が初舞台を踏み、祖父の代名詞でもある『スーパー歌舞伎 ヤマトタケル』のヤマトタケル役(小碓命/大碓命)として、
ついに主演の座に上り詰めました。
團子さんが主演を務める公演はチケットがまたたく間に完売。
これこそが、彼が人気・実力ともに名門・澤瀉屋を背負って立つトップスターになったという紛れもない証拠です。
父・香川照之さんからも「努力の賜物」と称賛される團子さん。
彼は今、大学で理論的に学んでいる芸術や演出の思考を自身の芝居にも取り入れ、さらなるクオリティ向上に努めています。
そんな彼の胸にあるのは、祖父・猿翁さんが遺した色紙の言葉「天翔ける心」です。
おわりに
「只の駄馬」という辛辣な言葉から始まった、市川團子さんの役者人生。
もし彼がその逆風に負け、周囲の声を言い訳にしていたら、今の輝かしい姿はありませんでした。
理不尽な評価をバネにし、1日の代役劇をやってのけるほどの爆発的な集中力と度胸、
そして日々舞台に捧げるひたむきな努力があったからこそ、彼は自らの手で「本物の天才」であることを証明してみせたのです。
祖父の、そして歌舞伎界の未来の夢を乗せて、どこまでも高く「天翔ける」市川團子さん。
彼の魂の舞台を、これからも全力で応援していきましょう!
